源泉徴収制度の仕組みが税金の無関心を助長する。

日経新聞電子版(2018年7月4日)にこのような記事が出ていました。
「源泉徴収会社員の税効率的に集める」
源泉徴収制度があるからほとんどの人は自分の納める税金の仕組みを知りません。
源泉徴収制度は会社が従業員や外注費を支払う時にあらかじめ概算で所得税を預かって、その後に預かった会社が本人に代わってその所得税を納める制度です。
源泉徴収制度はもともと税務署をはじめとしたお上が楽をしようと考えられた制度です。勝手に税金が吸い上げられて会社から納税されていたらこれほど楽な事はないですからね。
逆にすべての人が確定申告をしたら大変だったからという面もあります。
でも、色々な事が効率化されたいま、納税者である私たちが確定申告をしても税務署はさばけると思うんですよね。巷の言い方をすればAIでさらに楽になるでしょうし。
事務仕事とAIは最高に相性の良い組み合わせですから。
今日はそんな源泉徴収制度の事から。
あなたは自分の納める税金の仕組みを理解していますか?
あなたは税金、特に個人の所得税の計算仕組みを理解していますか?ふるさと納税や医療費控除をした事がある人ならば自分で確定申告をしたという人も多いので知っているかもしれませんね。
しかし、ほとんどの人は税金はどういう仕組みで計算されているか知らないでしょう。
- 収入金額
- 所得金額
- 所得控除
- 課税所得金額
- 税額
- 税額控除
- 納税額
こんな感じで所得税は計算されているワケですが、初めて見たという方も多いのではないでしょうか?
日本で一番多い層は自営業ではなく会社員であり、そのほとんどは会社による源泉徴収で税金には何もタッチしないですよね。
税金にタッチするとしても12月に「年末調整で必要だから資料書いてね~」と会社から言われて紙を渡されて書くぐらいでしょう。
実際、中小企業の年末調整業務を行っていますと、扶養控除等申告書と保険料控除申告書に名前と住所を書くだけの人も多いですから。
源泉徴収により毎月の給与から所得税がやや多めに引かれ、12月の年末調整でやや税金が戻ってくる。
「あ~今年は去年よりも戻ってきたなぁ」ぐらいの感じなのではないでしょうか?
やや昨年よりも給与が上がって、それとともに社会保険(雇用保険・厚生年金・健康保険)で取られる金額も増えたのだから、そりゃ戻ってくる税金も多くなるのです。
最近は税理士会が小学校や中学校に税理士を派遣して租税教室なるものを開いて税金を身近にするような活動をしているので、今のお子さんたちの方が親よりも税金には詳しいかもしれませんよ。
自動で計算された税金に納得できていますか?
一般的なサービスもそうですが、すべてを分からないまま任せているという事は、それにより算出された金額が多いかどうかも分かりません。モチロン税金を少なくするなどの対策は取られていませんね。
少しでも税金に意識をもっている人はサラリーマンならiDeCoに入ったり、生命保険の枠を使ったり。
ふるさと納税も税に対する意識がないとしようと思わないでしょう。
少なくとも自分がどのぐらい控除枠があるかざっくりと計算して行っているでしょうから。
単純に源泉徴収されているだけの人はそれで良いのでしょうか?
まずは手始めに自分の確定申告をしてみては?
源泉徴収されている会社員の人にだって確定申告をするチャンスはいくらだってあります。
- 医療費控除(風邪薬などの領収書を取っておく)
- ふるさと納税(ワンストップ特例を使わない)
上記の例はもともと確定申告しないといけないものですが、年末調整で生命保険や地震保険の証明書を提出しないで敢えて後から確定申告もできます。(計算した結果としての税金の金額は変わりませんが)
自営業の人もそうですよね。何でもかんでもすべてをほっぽって税理士に任せるのではなくて、自分で一度はやってみるというのも良いでしょう。
事実わたしのお客様でも一年目は私に習って、その後は自分で確定申告をしている人もいらっしゃいますから。
自分でいつまでもすべてやるかどうかはともかく「一度は自分で行ってみる」というのは仕組みを理解する上で最良の方法です。これは何事にも通じます。
まとめ
端的に言えば源泉徴収だけに任せて税に無関心なら、みな自分で確定申告をした方が税に対する意識が上がりますよ。と。
なぜ人は電気代やガス代、ガソリン代は節約しようとしているのに自分の税金についての節税する方法は考えないのでしょうか?
少しでも今から節税に対する意識を持ってみてはいかがでしょうか?
この記事へのコメントはありません。