国税庁は毎年、相続税や贈与税の基準となる「路線価」を発表しています。
2025年(令和7年)分の最新データが公表され、東京都中央区銀座の「銀座中央通り(鳩居堂前)」が過去最高額を記録するなど、大都市を中心に変動が見られました。
一方で、能登半島地震の影響を受けた地域では減額評価が実施され、特別な対応が取られています。
小規模法人や個人事業主の方にとっても、土地評価額の動向は相続対策や不動産戦略に大きく関わってきます。本記事では、最新の路線価動向と評価制度のポイントを、税理士の視点からわかりやすく解説します。
目次
最高路線価の全国的な傾向
銀座は過去最高額、再開発都市が上昇
2025年の全国最高路線価は、東京都中央区銀座5丁目「銀座中央通り(鳩居堂前)」で、1㎡あたり4,808万円(前年比8.7%増)と過去最高を更新しました。
また、大阪市北区角田町御堂筋でも3年連続で路線価が上昇し、都市部での商業活性化やインバウンド回復を背景に地価の回復傾向が続いています。
さらに、さいたま市・千葉市・京都市・奈良市では、再開発や観光需要の増加を背景に、前年比10%以上の上昇率を記録しました。
上昇都市・下落都市の一覧
35都市で最高路線価が上昇し、12県で下落。全体として全国平均は2.7%の上昇となり、4年連続の上昇トレンドとなっています。
能登半島地震による特例的な評価対応
被災地域での減額措置
2024年1月の能登半島地震の影響を受け、特に大きな被害が出た輪島市名舟町などでは、評価倍率が著しく低く設定されました。名舟町全域の倍率は0.8と、全国的にも極めて低水準となっています。
固定資産税評価額が未確認の地域での対応
石川県の被災地域7市町では、令和7年度の固定資産税評価額が未確定であるため、令和5年度の評価額に倍率を乗じて相続税評価額を算定するという特別措置が講じられました。
これにより、震災の影響を反映した公平な評価が可能となります。
小規模事業者が注目すべき評価動向
事業承継時の土地評価対策
土地を所有する小規模事業者にとって、路線価の上昇は相続税や贈与税の負担増につながる可能性があります。特に事業承継を控えている場合には、早めに専門家と対策を講じることが重要です。
被災リスクと評価額の変動
近年、地震や豪雨災害が頻発しており、将来的な土地評価にも影響を及ぼす可能性があります。
災害リスクのある地域では、地価や評価額が大きく変動する可能性があるため、リスク管理の視点を持った資産運用が求められます。
おわりに
2025年の路線価は、都市部を中心に地価回復傾向が続く一方、自然災害による影響も無視できない状況となっています。小規模法人や個人事業主の皆さまにとっても、土地の評価額や税制の変化は経営戦略の重要な要素です。
気になる評価地域がある場合は、税理士などの専門家に早めに相談し、適切な対策を立てるようにしましょう。

