「副業で収入が増えてきたけど、税金や社会保険料が重い…」
「サラリーマンでもマイクロ法人を作れるのかな?」
ここ数年、副業をしている会社員の方からこうした相談を本当に多くいただきます。
SNSでも「副業はマイクロ法人にまとめると節税になる」という情報が広まり、気になっている方が増えているようです。
結論からいえば、副業サラリーマンでもマイクロ法人を作ることは可能です。
ただしメリットと同時に注意点もあります。
この記事では、副業サラリーマンがマイクロ法人を作る意味、メリット・デメリット、年収別のシミュレーション事例まで、全国の方に役立つ視点で解説します。
目次
サラリーマン+副業でマイクロ法人を作る意味
サラリーマンは本業の給与で厚生年金・健康保険に加入しています。そのうえで副業収入が増えると、確定申告で給与所得と合算され、高い税率で課税されるのが現実です。
例えば、
- 本業給与:600万円
- 副業収入:300万円
→ 合計900万円が課税対象となり、税率は33%ゾーンに。
ここでマイクロ法人を作る意味は大きく3つです。
- 副業収入を法人に移して課税所得を分散できる
- 社会保険料を抑制できる可能性がある
- 法人格による信用力を得て将来的な独立にも備えられる
特に副業収入が年間200万円を超えると、マイクロ法人の検討価値が高まります。
マイクロ法人のメリット(副業サラリーマン編)
1. 節税効果
副業収入をそのまま申告すると、本業給与と合算され累進課税の対象になります。
例:
- 本業給与 600万円
- 副業収入 300万円
→ 合算900万円として課税(税率33%のゾーンに)
一方、副業分をマイクロ法人にすると、法人税(約23%)+役員報酬(調整可能)という形になり、全体の税率を下げられる場合があります。
2. 社会保険料の調整
サラリーマンはすでに会社で厚生年金・健康保険に加入しているため、副業分で新たに国保に入る必要はありません。マイクロ法人を設立した場合、役員報酬を低めに設定すれば、追加で社会保険料が大きく発生するリスクを避けやすくなります。
3. 法人としての信用力
副業が法人格を持つことで、取引先からの信頼性が増します。また、将来的に副業を独立・拡大させる場合にも、法人を先に準備しておけばスムーズに移行できます。
マイクロ法人設立前の注意点(会社規程違反・副業禁止リスク)
- 副業禁止規定の有無
就業規則で副業が禁止されている場合、法人を作ると登記簿に名前が載り、会社に知られる可能性があります。最悪の場合、懲戒処分や退職勧告につながります。 - 利益相反のリスク
勤務先と競合する事業を行う場合、会社とのトラブルになることも。 - 時間的負担
法人設立後は決算・申告などの事務作業が増えるため、仕事や家庭との両立を考える必要があります。
マイクロ法人の実際の活用事例
事例1:副業ライター(月20万円)
Bさん(30代会社員、年収500万円)は、副業ライターで毎月20万円の収入がありました。年間240万円を個人で申告すると、本業給与と合算され税率が上がり、手取りが思った以上に少なくなったそうです。そこでマイクロ法人を設立し、副業収入を法人に移した結果、年間で約30万円の節税効果を得られました。
事例2:副業物販(月30万円)
Cさん(40代会社員、年収700万円)は、ネット物販で月30万円の副業収入がありました。副業分を法人化し、配偶者を役員に加えて報酬を分散。結果的に世帯全体での税負担が軽くなり、さらに法人格を持つことで仕入先からの信頼度も上がりました。
事例3:副業コンサル(月50万円)
Dさん(50代会社員、年収900万円)は、副業コンサルで年間600万円の収入を得ていました。個人で申告すると課税所得が1500万円に達し、税率45%のゾーンに。マイクロ法人を作り、副業分を法人で受けたことで、税率をコントロールしつつ社会保険の負担も抑えられました。
年収ライン別のシミュレーション(副業100万・300万・500万)
副業をしている会社員から「副業収入が増えてきたけど、マイクロ法人を作るべきか?」という相談は全国的にも増えています。そこで、シンプルな試算をもとに副業収入ごとの損得イメージをまとめました。
※あくまで概算イメージです。実際は扶養家族や控除の状況で変動します。
| 副業収入 | 個人で申告した場合(給与と合算) | マイクロ法人を活用した場合 | 判定 |
|---|---|---|---|
| 年100万円 | 税率アップは限定的。追加課税は約15〜20万円程度。社会保険料も大きな変化なし。 | 法人を作っても維持費(均等割7万円+その他費用15〜20万円)が重く、むしろ赤字リスク。 | 個人のままが有利 |
| 年300万円 | 本業給与と合算されると税率20〜23%ゾーンに突入。税金・社会保険料の負担感が大きくなる。 | 法人化で副業分を切り分け、法人税+役員報酬調整で節税効果が出やすい。ただし維持費を差し引くと効果は10〜20万円程度。 | ケースバイケース |
| 年500万円 | 合算で課税所得1,000万円超になり、33%課税ゾーンに。税負担・社会保険料の伸びが急増。 | 法人化で税率コントロールが可能。維持費を考慮しても年間30〜50万円程度のメリットが出やすい。 | マイクロ法人を検討すべきライン |
まとめ:マイクロ法人の設立を慎重に進めるためのポイント
副業サラリーマンでもマイクロ法人は作れますが、誰にでもおすすめできるわけではありません。
- メリット → 節税、社会保険料調整、法人信用力
- デメリット → 副業禁止リスク、事務負担、実態リスク
判断のポイントは次の通りです。
- 副業収入が200万円以上あるか?
- 勤務先に副業禁止規定がないか?
- 家族に所得分散できるか?
- 法人の維持費(年間15〜30万円)を負担できるか?
👉 慎重に検討し、判断に迷ったら税理士に相談するのがベストです。当事務所では東京都中央区に限らず、全国どこからでもご相談を承っています。
この記事のまとめ
- サラリーマンでも副業収入があればマイクロ法人を作れる
- 年間200万円以上の副業収入がある人は検討価値大
- 就業規則や副業禁止リスクには注意
- 年収ライン別の損得シミュレーションでは、副業500万円が検討ライン
- 最終判断はシミュレーションと専門家相談が大切
👉 ご自身のケースでマイクロ法人が有利かどうか知りたい方は、初回相談をご利用ください。

