以前弊所のこちらでもお伝えした「雑所得に係る通達の改正」。
「雑所得に係る通達の改正で節税封じがほぼ確定(※その後大幅修正)」
端的に言いますと、そちらが「副業での節税を封じる」というものでした。
ただ、こちらの改正がそのまま施行されれば、そういった悪意のある節税だけでなく、本気で副業を始めたような方も巻き込むような結果となってしまいました。
こちら前回の記事ではパブリッコメントを募集中でしたが、そちらでかなり軌道修正されたようです。
パブリックコメントに寄せられた意見
副業問題のパブリックコメントにはなんと7,059通もの意見が寄せられたとの事でした。
その内容といたしましては
- 副業してても収入が300万円以下であれば問答無用で雑所得はおかしい!
→事業所得青色申告をする事によりであれば赤字を繰越できたり、多数の恩恵が受けられます。 - そもそも政府が今のままでは足らないから副業を推進していたのではないか!
→本当に同意です。2,000万円問題が出てからこちらに稼ぐように言ってきたのは政府ではないでしょうか? - 形式じゃなくて実態で判断して欲しい
→特に最初からいきなり利益が出る副業も少なく、むしろ勉強代も含めて赤字になるのがほとんどであります。
という事は改正やパブリックコメントを募集する前から想定されるような事だったと私は考えます。
どうしてこういう事が起こるのかと言えば、それはこういった改正の影響を受ける人が改正を作る側にいないからとも言えます。
そもそも公的には公務員は副業禁止ですから…。
なお、実際のパブリックコメントの結果と修正事項は下記からご覧になれます。
「所得税基本通達の制定について」(法令解釈通達)の一部改正(案)(雑所得の例示等)に対する意見公募の結果について
パブリックコメントを受けての改正の影響
それでは影響を受けたものを実際に記載していきます。
パブコメ前
その所得がその者の主たる所得でなく、かつ、その
所得に係る収入金額が300万円を超えない場合には、特に反証のない
限り、業務に係る雑所得と取り扱って差し支えない。
- ”主たる所得”という記載
- “収入金額が300万円”という数字で限定する定量的な記載
パブコメ後
なお、その所得に係る取引を記録した帳簿書類の保存がない場合
(その所得に係る収入金額が300万円を超え、かつ、事業所得と認め
られる事実がある場合を除く。)には、業務に係る雑所得(資産(山
林を除く。)の譲渡から生ずる所得については、譲渡所得又はその他
雑所得)に該当することに留意する。
- 主たる所得という記載が消去された
- ”帳簿保存”の旨が追加になる
- ”収入300万円が超えない”という部分の消去
ファジーな感じで記載されていた”主たる所得”という記載が消えて、収入が300万円以下でも帳簿をしっかりと付けている事が付け足されました。
逆に変わらない部分としては”社会通念上事業と称するに至る程度”という文言です。
つまりはそもそもが「社会通念上」事業と言えるのか?という部分があります。
この部分も定量的に計るには難しいですね。
以前の記事でもお伝えしましたが、一時期流行った節税本(無税本)には本当に事業としてを目指すというよりも敢えて事業所得をマイナスを作り続けるというものでした。
それは社会的に見れば脱税行為と取られても仕方ないと私でも思います。
まとめ
今回は前回の雑所得についての記事がそのままだったこともあり、その後の顛末を記載させていただきました。
端的に言えば、副業を始めるのであれば事業として成り立つ以前から、
その収支についてはしっかりと帳簿をつけておくというのが宜しいかと思われます。
近年、副業が多くなってきたことで、個人としての税務調査の目も向けられ始めたと感じております。
特に無申告は後々、無用な加算税や延滞税のもととなりますので、お早めに申告についても考えていっていただければと思います。