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マイクロ法人の節税効果を税理士が解説|社会保険・住民税・所得税

「マイクロ法人って本当に節税になるの?」
「社会保険料や住民税も安くなるって聞いたけど…」

最近、フリーランスや副業サラリーマンからこのような質問をいただく機会が増えています。

SNSなどで「マイクロ法人=節税の切り札」と紹介されることもありますが、仕組みを正しく理解しないと逆に損してしまうケースもあります。

この記事では税理士の立場から、マイクロ法人の節税効果の仕組み・具体例・注意点をわかりやすく解説します。

節税できる仕組みの全体像

マイクロ法人の節税は大きく分けると次の3つです。

  1. 社会保険料の削減
    役員報酬を低めに設定することで厚生年金・健康保険の負担を軽くできる。
  2. 所得税・住民税のコントロール
    所得を「法人」と「個人」に分けて課税を分散できる。
  3. 経費計上の幅が広がる
    個人では経費にならなかった支出が法人経費として処理できる。

ポイントは「個人と法人をどう組み合わせるか」です。個人事業主だけでは調整が難しい部分を、マイクロ法人を使うことで柔軟に設計できます。

社会保険料の削減例

日本の社会保険料は「所得に比例して上がる」仕組みになっています。フリーランスで国民健康保険に加入していると、年収が上がるほど負担が増え続けます。

例:フリーランス・年収800万円

これをマイクロ法人化し、役員報酬を月額6万円に設定した場合:

差額は 約80万円。もちろん将来の年金額が下がるなどの影響はありますが、短期的なキャッシュフローでは大幅な改善です。

副業サラリーマンの場合は、本業で社会保険に加入しているため、副業収入に追加の社会保険料がかからず、法人を活用しても比較的負担をコントロールしやすいのが特徴です。

所得税・住民税のコントロール方法

日本の所得税・住民税は累進課税制度です。

例えば、フリーランスで年収1,000万円ある場合、かなりの部分が33%の課税ゾーンに入ります。

ここでマイクロ法人を設立し、

と振り分けると、個人は税率20〜23%ゾーンで抑えられ、法人は法人税23%前後で課税。結果的に全体の税負担を軽減できます。

さらに、配偶者や家族を役員に加え報酬を分散すると、世帯全体での節税効果はより大きくなります。

法人税・均等割の注意点

「マイクロ法人=節税」というイメージが広まっていますが、必ず発生するコストもあります。

  1. 法人住民税の均等割
    赤字でも最低7万円/年が必ずかかる。
  2. 法人税
    利益に対して約23%が課税される。
    中小企業の軽減税率15%は年800万円以下の所得に適用可能。
  3. 維持コスト
    会計ソフト代:年間1〜2万円
    税理士報酬:年間15〜30万円(依頼する場合)
    その他登記・社会保険手続き費用

これらを合計すると、年間最低でも20〜30万円のコストはかかります。
したがって、節税効果が20〜30万円程度しかない年収層では、かえって損をする可能性があります。

年収別の節税効果シミュレーション

実際にどれくらいの効果が出るのか、年収ごとにざっくり比較してみましょう。

※実際の税額は控除・扶養状況により変動します。ここでは単純化したモデルケースです。

年収 個人事業主のまま マイクロ法人を活用 差額(節税効果)
500万円 所得税・住民税・社会保険料で約120万円 維持費込みで約110万円 約10万円の効果(限定的)
800万円 約250万円の税・社保負担 維持費込みで約210万円 約40万円の効果(効果が明確に出るライン)
1,000万円 約340万円の税・社保負担 維持費込みで約280万円 約60万円の効果(大きな差が出る)

 

節税効果を最大化するコツ

マイクロ法人を設立して本当に節税効果を最大化するための要点を整理しておきます。

  1. 年収ラインを見極める
    年収500万円以下ではメリットが薄く、年収800万〜1,000万円以上で効果が明確に出る。
  2. 役員報酬の設定を工夫する
    報酬を高くしすぎると社会保険料が増える。低くしすぎると将来の年金が減る。バランス設計が重要。
  3. 家族を役員に加える
    報酬を分散させて課税ゾーンを下げることで、累進課税をやわらげられる。
  4. 経費計上の幅を広げる
    自宅家賃の按分、通信費、出張費、福利厚生など、法人にしたことで経費にできる範囲を最大限活用する。
  5. 税理士とシミュレーションを行う
    ケースによって効果が大きく変わるため、設立前に必ず複数パターンを試算する。

まとめ

マイクロ法人は、正しく活用すれば 社会保険料・所得税・住民税の負担を大幅に軽減できる節税手段です。一方で、法人維持費や手間もあるため、すべての人にメリットがあるわけではありません。

 

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