今回顧問先の社長からいただいた質問は『年老いた親へ毎月仕送りしているけれど、この仕送りをどうにか経費にできないか?』という質問でした。
こうした質問がしたくなるのもよく分かります。
それでは実際のところどうすれば良いのでしょうか?
私が行った回答をこちらに記載したいと思います。
そもそも経費にするという事について
法人において(個人も同様ですが)、経費になるという事はこちらだけで考えるのではなく、相手方も考えましょう。
そうすると相手方では「収入」となるのです。
特に経費が無ければ、もうけ。つまり所得が発生します。
毎月10万円を仕送りにしているという場合に、それを経費にしたとすれば勘定科目などを考えずに説明しますと
- 法人側では10万円✕12ヶ月で120万円の経費
- 相手(親)側には同様に120万円の収入
となるのです。
当たり前と言えば当たり前の事ではありますが、どうにか経費にしようとすると考えていると相手側の処理は得てして忘れやすいものです。
経費にする方法その1:給与にする
法人がワンマン社長オーナー経営の中小企業であるならば、給与を出すという事も方法の一つでしょう。
実態として何かお手伝いをしてもらうようにはしたいものです。
ただ、支払う税金からの節税などに目がいくがために、会社本来の経営にまで影響が出るのでおすすめはしておりません。
何より社会保険とかの問題もありますし、士気にも影響しますから。
経費にする方法その2:扶養に入れて所得控除にする
こちらが現実的な方法だと思います。
所得控除は個人の所得税の計算でその名の通り収入から控除(引く)するものです。
その中の一つの「扶養控除」として自分の親を扶養に入れます。
でも、扶養するって言っても同居はしていないし…。
なんて事も考えるかもですが、国税庁の質疑応答でもこちらは載っております。
地方に住む両親を扶養控除の対象とする場合
Q3
従業員が地方に住む両親を扶養しているとして「給与所得者の扶養控除等申告書」を提出してきた場合、会社(源泉徴収義務者)はそのことを何らかの書類により確認する必要があるでしょうか。A3
別居している者を扶養控除の対象とするためには、常に生活費、療養費等の送金が行われているなど「生計を一」にしていることが必要となります。法令上、源泉徴収義務者に対してこれを証明する書類等を提出することまで必要とされているわけではありませんが、正しい扶養控除の計算を行うためには、銀行振込や現金書留により送金している事実を振込票や書留の写しなどの提示を受け確認することをお勧めします。(所法2、所基通2-47)
このように社長の質問のように、正に生活費を毎月送っているのであれば、年末調整や確定申告時に扶養に入れるのが良いでしょう。
所得控除は経費と同じような形であり、社長の所得税が減ることを考えれば悪くないと思います。
ちなみに”年老いた親”という事であれば同居していなくても48万円、同居していれば58万円の扶養控除が受けられます。
所得税の税率で変動しますが、税額で言えば少なくとも7万円以上の節税となります。
まとめ
今回のケースでは、その2の扶養控除が受けられる旨を回答して納得していただきました。
なかなか自分の親を扶養に入れるというのは思いつかないかもしれませんね。
今後もこういった顧問先様等からの相談事例をこちらに記載して参ります。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。