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ひとり会社の節税|給料・ボーナス・社会保険は経費にしなさい

こんにちは。東京都中央区日本橋茅場町の税理士 高橋輝雄(@teruozeimu)です。

ひとりで会社をする「ひとり社長」が増えています。

新会社法という法律で、資本金1000万円が1円取締役3名が1人に変わり、法人化のハードルが下がり会社を設立しやすくなったことも一因でしょう。

実際に私のところに顧問や会社設立の相談に来ていただく方もひとり会社の方が増えてきていると感じます。

かくいう私もひとり会社ひとり税理士)です(笑)

今回はそんなひとり会社の節税対策として「給料・ボーナス・社会保険は経費にしなさい」について解説してきます!

ひとり会社社長の給料(役員報酬)

給料(役員報酬)を経費にするには

ひとり会社の社長の場合は、個人事業主と違って給料(役員報酬)を支払わなければいけません。

給料は毎月定額にすれば経費として計上でき節税にもなります。この条件を定期同額給与と言います。

つまり、給料を経費にするには年度の途中で給料を変更出来ないということです。給料を変えても良いのは原則1年に1度のみ。その事業年度が開始して3ヶ月以内に決めなくてはいけません。

例えば

3月決算であれば、4月~翌年3月が事業年度となりますので、6月までに

12月決算であれば、1月~12月が事業年度となりますので、3月までに

上記以外の時期に給料を変更(増額)してしまうと、増やした給料分は経費になりません

 

給料が支払えない月はどうしたらいいか?

毎月定額で給料を決め、経費に計上することとしました。

でも、その月の売上や支払い状況によって「今月は給料が払えない!」という場合もあると思います。

「毎月定額で給料を決めてしまったら、払えない月はどうなるんだろう?」というご質問もよくいただきます。

これは結論から申し上げますと「未払いとして処理」します。

つまり、法人が社長へ今後支払わなくてはいけない未払いの費用として計上しておきます。そして法人が社長へ支払えるようになったら払えばいいのです。

税務調査対策としてですが、単に未払い計上ではなく実際に払った時にかかる源泉所得税は支払っておきましょう。でないとその役員報酬を支払う意思が無かったと思われて役員報酬を否認されてしまう場合があります。

事業年度の途中で、給料を減額したい

給料の未払いや必要経費が増えてひとり会社の社長(自分)の給料を減額したい、と思うこともあるかもしれません。原則、その事業年度が開始して3ヶ月以内に給料を増額・減額すると経費に計上することができます。

では、事業年度の途中でも経費として計上できる給料の減額(変更)が認められる時はどんなときか?

国税庁では「臨時改定事由」と「業績悪化改定事由」の場合と定められています。

「臨時改定事由」とは例えば、ひとり会社の代表取締役が事業年度の途中に死亡し、他の代表取締役が就任した場合などが該当します。

「業績悪化改定事由」とは、業績等が急激に悪化して家賃や給与等の支払いが困難となり、取引銀行や株主との関係からも、やむを得ず減額しなければならない場合などが該当します。

 

ひとり会社の社長にボーナス(賞与)は出せるのか?

事前に税務署への届出をすれば、経費計上できる賞与を出せる

今月は利益が多く出たからひとり会社の社長(自分)にボーナスを出そうかな♪と思っていても原則は出せません。

しかし例外として、事前に税務署へ届出をしておけば、賞与を出すことができます。その届出を「事前確定届出給与に関する届出」と言います。

左図が税務署へ届出する事前確定届出給与に関する届出の一部です。

ボーナスを経費として認めて欲しい場合は、事前に税務署へ届出しなければいけません。

ただし、届出の内容時期金額一致しなければ経費として認めてもらえません。1円でも届出と差があった場合は、その1円だけでなく支給した賞与全額が経費としては認めてもらえなくなりますので注意してください。

事前確定届出給与に関する届出の提出期限

事前確定届出給与に関する届出の提出期限は厳格に定められています。

①職務執行開始日、もしくは株主総会等の決議日のどちらか早い日から1ヵ月後。
②事業年度が開始した日から4ヵ月後

①または②のどちらか早い日が提出期限と定めらています。

 

ひとり会社社長の社会保険

ひとり会社の社長の場合も社会保険の加入は義務

ひとり会社の社長であっても健康保険法第3条と厚生年金保険法第9条によって社会保険への加入が義務付けられています。

毎月給料が入ってくる(定期同額給与)場合は、法人から報酬を受けているとみなされ、ひとり会社の社長も被保険者とみなされるのです。

ただしひとり会社の社長の場合、個人負担分の社会保険料と会社負担分の社会保険料と両方負担しなければいけません。ですから会社員の2倍の保険料を負担しているように感じるかもしれません。

この場合、会社負担分の社会保険は法定福利費として経費に計上することができます。

余談ですが。実際に私も会社員から独立してひとり会社の社長になった時、いくら会社負担分が経費になるとはいえ、倍の保険料額に「社会保険料たかっ!」と思ってしまいました。今は子供が産まれて息子と娘を健康保険の扶養に入れているので、3人分の保険料を支払っている感覚ですが。これが、国民健康保険となると私と息子・娘の3人分支払わなくてはいけませんからね。

会社負担分が経費になるのでその分法人税は安くはなりますが、個人と会社の保険料を支払わなくてはいけないのはかなりの負担ですよね。

 

社会保険を未加入のまま無視していると?

前述の通り、ひとり会社の社長であっても社会保険に入らなければいけません。

しかしごくたまにいらっしゃるのですが、未加入のままでもバレないだろうと無視していると、何が起こるのか?

(軽)年金事務所から加入要請の連絡がくる

会社の所在地のある年金事務所から加入するよう電話などで連絡がきます。未加入の場合は最悪この時点で手続きするのが最善策であると言えます。

(中)年金事務所から警告文書が届く

加入要請で応えなければ次に警告文書が届きます。ここまでくると年金事務所へ行き、加入手続きをすることになります。

(重)立入り検査と、遡及して保険料を徴収される

警告文書が届いたにも関わらず無視していると、強制的に立入り検査が入ります。そして罰則として最大2年さかのぼって保険料の納付を求められ、強制的に加入させられます。

 

社会保険に加入しなくてもOKなパターン

社会保険の加入は原則、義務ですが例外もあります。

それはひとり会社の社長の給料が0の場合又は給料が社会保険料を下回るほど低い場合です。

その場合はひとり会社の社長であっても、国民健康保険と国民年金に加入することになります。

 

まとめ

  • 経費計上できる給料は原則、事業年度を通して毎月定額にする
  • 給料が払えない月は未払いで処理しておく
  • 事業年度途中での給料変更は「臨時改定事由」と「業績悪化改定事由」の場合のみ可
  • ボーナスを出すには、事前に税務署に届出が必要
  • 社会保険は原則強制加入

 

今回はひとり会社の社長の給料やボーナス、社会保険について解説しました。

会社設立する時は、事前に知っていて、届出しておけば節税になることも多いです。会社設立をしてしまい「もっと早くこの節税策を知りたかった・・」とおっしゃる方は多くいらっしゃいます。

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