「マイクロ法人を作った方がいいのか、それともやめておいた方がいいのか?」
東京都中央区でもフリーランスや副業サラリーマンの方から『マイクロ法人は作るべき?』というご相談を多くいただきます
SNSや動画で「節税になる」「社会保険料が安くなる」といった情報を見て、気になっている方も多いでしょう。
確かにマイクロ法人は上手に使えばメリットが大きい仕組みですが、誰にでも有効なわけではありません。収入規模や働き方によっては、逆にコストやリスクの方が大きくなるケースもあります。
この記事では税理士の立場から、マイクロ法人を作るべき人と作らない方がいい人の特徴、年収別のシミュレーション、判断のためのチェックポイントを詳しく解説します。
目次
マイクロ法人を作るべき人の特徴
1. 一定以上の収入があるフリーランス・個人事業主
フリーランスや個人事業主として年収500〜1000万円程度の収入がある人は、マイクロ法人を検討する価値があります。
理由はシンプルで、社会保険料と所得税の負担が重くなるラインだからです。
年収500万円:国民健康保険料が年間60万円を超えるケースもある
年収800万円以上:累進課税の影響で所得税・住民税も大幅増
年収1000万円超:節税効果がより顕著になる
このような状況では、法人を活用して所得を分散した方が結果的に手取りが増える可能性が高いのです。
2. 副業で年間数百万円以上の収入があるサラリーマン
会社員としての給与とは別に、副業で年間200〜300万円以上稼いでいる人もマイクロ法人が向いています。
副業収入をそのまま個人で申告すると、本業の給与と合算されるため、高い税率で課税されます。
しかし、副業部分を法人に移せば、法人税(約23%)+最低限の役員報酬という形でコントロールが可能です。
【 具体例】
Aさん(会社員、年収600万円、副業300万円)
→ 個人で申告すると900万円の所得として課税対象
→ マイクロ法人を使えば、副業分を法人で処理し、社会保険料や税率を調整できる
3. 家族に所得を分散させたい人
配偶者や家族を役員にして報酬を分けることで、所得税の累進課税を和らげられます。
例えば、夫が年収900万円を1人で稼ぐよりも、夫700万円+妻200万円に分けた方が世帯全体の税負担は軽くなるのです。
4. 将来的に法人として事業を広げたい人
「今は個人事業メインだが、いずれ法人として信用を高めたい」「融資を受けたい」
という人にもマイクロ法人は有効です。
最初は節税目的だったとしても、将来の事業拡大につながる“布石”になります。
作らない方がいいケース
1. 年収が低い人
年収300万円程度の場合、法人の維持費(均等割7万円+税理士費用+会計ソフト代など)を考えると、節税効果よりもコストの方が大きくなる可能性があります。
むしろ赤字になることもあるため、この層は「やめた方がいい」ケースに該当します。
2. 副業禁止規定のある会社員
副業が認められていない会社に勤めている人は要注意です。
マイクロ法人を設立すると登記が公開され、勤務先に副業がバレるリスクが高まります。
規定違反で処分される可能性もあるため、節税よりもリスクの方が大きいといえるでしょう。
3. 実態がない法人を作る人
「節税のためだけに作る」「事業実態がない」法人は、税務署や年金事務所から否認される可能性があります。
税務調査の際に「実態がない」と判断されると、過去にさかのぼって社会保険を徴収されたり、追徴課税を受けるリスクも。
4. 事務作業が苦手な人
法人は個人事業よりも手続きが多く、決算・申告・社会保険の届出などが必須です。
管理を放置すると、かえってリスクやペナルティにつながります。
このタイプの人は税理士に丸投げできる予算がなければ、作らない方が無難です。
年収別のシミュレーション例
ここでは、フリーランスを例にマイクロ法人を導入した場合のざっくりしたイメージを紹介します。
年収500万円の場合
個人事業主のまま:所得税・住民税・社会保険料で約120万円の負担
マイクロ法人導入:維持費込みで約110万円の負担
→ 効果はあるが、差は小さい
年収800万円の場合
個人事業主のまま:約250万円の負担
マイクロ法人導入:約210万円(約40万円の差)
→ 節税効果がはっきり出るライン
年収1000万円の場合
個人事業主のまま:約340万円の負担
マイクロ法人導入:約280万円(約60万円の差)
→ 維持費を差し引いても大きなメリット
判断に迷ったときのチェックリスト
下記のチェックリストを用いてご自身の状況をチェックしてみて下さい。
年収500万円以上あるか?
副業収入が年間200万円以上あるか?
家族に所得分散できるか?
副業禁止規定のリスクはないか?
法人の維持費を負担できるか?
事務作業をこなす、もしくは税理士に任せる体制があるか?
上記のチェックしてみた結果、3つ以上「YES」であれば、マイクロ法人を検討する価値があります。
税理士に相談すべきタイミング
年収が500〜800万円に到達したとき
副業収入が増えて税金が高いと感じたとき
インボイス制度で法人化を勧められたとき
将来的に事業拡大を考えているとき
このようなタイミングで専門家に相談すると、無駄な設立や「やめた方がいい」失敗を防げます。
まとめ
マイクロ法人は「作るべき人」と「やめた方がいい人」がはっきり分かれる制度です。
作るべき人 → 年収500万円以上のフリーランス、副業200万円以上の会社員、家族に所得分散したい人、将来的に事業を広げたい人
作らない方がいい人 → 年収300万円以下、副業禁止の会社員、実態がない法人を作ろうとする人、事務作業が苦手な人
最終的には「数字でシミュレーションし、自分のライフスタイルに合うかどうか」を確認することが大切です。
ご自身のケースでマイクロ法人が有利かどうか知りたい方は、下記お問い合わせよりお申し込みください。



















