相続が発生した際、相続人が負うことになるのが「相続税」です。
相続税は、故人(被相続人)が残した財産に対して課される税金ですが、
単に財産に課税されるだけではなく、借金や債務といった負の遺産も重要な要素となります。
「相続税」と聞いて相続財産の事はすぐに思いつくかと思います。
ですが、逆に「債務」と聞いてすぐに思いつくでしょうか?
「相続税は相続財産にかかるんですよね?」
という質問もよく受けます。
今回は、相続税における「債務」について、税金に詳しくない方にも分かりやすく説明していきます。
今回の記事が今後、相続が発生した方や今後遠からず相続が発生しそうだという方たちの一助になれば幸いです。
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相続税における「債務」とは?
相続税を計算する際、相続する財産の合計額から、故人が残した「債務」を控除することができます。
これは、故人が生前に負っていた借金や、支払い義務のある費用などを指します。
相続税の課税対象額は、財産から債務を差し引いた金額となるため、債務を正しく把握することが自ずと相続税額を下げる事にもなりますので重要です。
控除できる主な債務の例
以下のような債務が相続税計算時に控除されることが一般的です。
住宅ローンや借入金
被相続人が住宅購入や事業資金のために借りたローンが残っている場合、
その残高を債務として控除することができます。未払いの医療費や介護費用
被相続人が生前にかかった医療費や介護費用で、
まだ支払っていないものも債務として認められます。未払の税金
被相続人の生前の所得税や住民税など、支払期限が到来しているが未払いの税金も、債務として控除可能です。その年の1月1日~死亡日までの所得税を申告する「準確定申告」をした事により納税する未払いの所得税も控除できます。
なお、逆に還付される場合は逆に相続財産となります- 社会保険
社会保険も同様に未払いのものがあれば債務として控除可能です。
※逆に特別徴収や口座振替で引き落としされている場合には還付になる場合もあります。 葬儀費用
葬儀にかかった費用も、一定の範囲で相続税の計算において控除できる項目に含まれます。
控除できない債務
一方で、すべての支出や債務が控除されるわけではありません。以下のような項目は控除対象外です。
被相続人が故意に作った債務
相続税の負担を軽減するために、被相続人が故意に負った債務は、控除として認められません。葬儀に関わらない支出
法要やお墓の建立費用は、葬儀関連の支出であっても相続税の計算においては控除対象外です。
また、香典返しなども控除されません。
債務の正しい把握が直接税額に影響する
はじめにも申し上げましたように、相続税を計算する際には財産から債務を控除して相続税の対象額を算出いたします。
ですので債務を適切に申告することは、課税額に大きな影響を与えます。
たとえば、借金を見逃したり、控除可能な債務を把握できていなければ、不要な税金を多く支払うことになってしまいます。
また、相続人間でのトラブルを避けるためにも、故人の財産と債務をしっかりと整理し、相続税の申告に正確に反映することが大切です。
参考として国税庁のホームページもご紹介いたします。
国税庁タックスアンサー 「No.4126 相続財産から控除できる債務」
国税庁タックスアンサー 「No.4129 相続財産から控除できる葬式費用」
まとめ
相続税の計算において、被相続人の財産だけでなく、債務も非常に重要な要素です。
適切に債務を把握し、相続税の計算において控除することで、相続税の負担を軽減することが可能です。相続の手続きは複雑な部分も多いため、税理士・司法書士・行政書士をはじめとした専門家のサポートを受けながら進めることをお勧めします。
「相続税の債務」というテーマは、少し難しそうに感じるかもしれませんが、正しい理解と対策を取ることで、相続に伴う負担を軽減できます。この記事を通じて、相続税に関する債務の基本的なポイントが少しでも理解しやすくなれば幸いです。
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今後の相続に関しての記事も記載して参りますので弊所の記事をご参考にいただければ幸いです。
最後までご覧いただきましてありがとうございました<(_ _)>