「マイクロ法人を作って節税や社会保険料の調整をしたいけど、どうやって作ればいいの?」
「設立に必要な手順や書類が複雑そうで不安…」
そんな声をよくいただきます。
実際、マイクロ法人は株式会社や合同会社と同じ法人というくくりになりますので、最低限のルールに沿った法人設立手続きが必要です。
この記事では、税理士の立場から マイクロ法人の作り方・設立手順・届出書類・会社形態の選び方 を、できるだけわかりやすくまとめました。
目次
設立に必要な準備(資本金・定款など)
1. 資本金
- 最低1円から設立可能(株式会社・合同会社とも)。
- 実務的には10万〜100万円程度での設立が一般的。
- 信用面や当面の運転資金を考えると、30万円以上あると安心。
2. 定款の作成
- 株式会社:公証役場で認証必須(手数料等で約5万円)。
- 合同会社:定款作成は必要だが認証不要。
- 電子定款を使えば印紙代4万円が不要になりコスト削減。
- 事業目的は将来を見据えてやや広めに(広告、コンサル、物販など)。ただし、事業目的は10個以上など、書きすぎに注意!(こちらも銀行口座開設の観点から)
3. 印鑑の準備
- 法人実印・銀行印・角印の3点セットが一般的。
請求書がオンライン主流になってきた現在だと角印は無くてもOK! - オンライン登記では電子署名で代替できる場合もあり。
4. 事業計画と口座用資料
- 事業概要、見込み売上、主要取引先、サイトURL等を簡潔に。
- 法人口座審査で提出を求められることが増えています。
- 銀行や日本政策金融公庫の融資を受けるならば事業計画書は必須。
なので、あらかじめ作成しておいて損は無し。
登記の流れ
ステップ1:登記書類の作成
- 設立登記申請書
- 定款(株式会社は認証済)
- 発起人決定書/出資者決定書
- 役員就任承諾書・印鑑届出書
- 資本金払込証明書(通帳コピー等)
ステップ2:法務局へ提出(郵送・窓口・オンライン)
- 管轄法務局に提出。登記完了まで通常1〜2週間。
ステップ3:完了後に取得する書類
- 履歴事項全部証明書(登記簿謄本)
- 法人印鑑証明書
- これらは法人口座開設・各種届出で使用します。
法人口座開設のポイント
- メガバンクは審査が厳しめ(実態の薄い新設法人は時間がかかることも)。
- ネット銀行(GMOあおぞら、住信SBIなど)は比較的スムーズ。
最近は三井住友銀行にもネット口座(Trunk)ができました。 - 自身の個人口座があるところも多少は審査に影響する事もアリ
- 提出資料の例:履歴事項全部証明書、印鑑証明書、定款、事業計画、HP/LPのURL。
- 実績が乏しいうちはネット銀行でスタート→実績後にリアル銀行の信用金庫やメガバンク追加が現実的。
税務署等への届出書類一覧
設立後は原則2か月以内に各種届出が必要です(青色申告は設立の日以後3月を経過した日と1期目の事業年度終了日と比べて、いずれか早い日の前日まで)。
税務署
- 法人設立届出書
- 青色申告の承認申請書(重要)
- 給与支払事務所等の開設届出書(役員報酬を支払う場合)
- 源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書(従業員少数なら月次→年2回納付へ)
都道府県税事務所・市区町村
- 法人設立届出書(各自治体様式)
年金事務所・労基署・ハローワーク
- 健康保険・厚生年金 保険新規適用届(加入対象なら)
- 労働保険関係成立届・雇用保険適用事業所設置届(従業員を雇う場合)
株式会社と合同会社、どちらで設立すべきか?
マイクロ法人を作る際、まず迷うのが株式会社か合同会社か。目的や将来像によって最適解は変わります。
| 項目 | 株式会社 | 合同会社 |
|---|---|---|
| 設立費用 | 約20〜25万円(定款認証+登録免許税) | 約6万円(登録免許税のみ) |
| 信用力 | 高い(取引先・金融機関に安心感) | やや低い(新規取引で説明が必要な場面あり) |
| 運営のしやすさ | 株主総会・取締役会などの形式が必要 | 出資者=経営者で意思決定がスピーディ |
| 決算公告 | 義務あり | 義務なし |
| 税務面 | 実務上の差は小さい | 実務上の差は小さい |
| 向いている人 | 将来の事業拡大や融資・採用を見据える人 | コストを抑え小さく始めたい人、副業サラリーマン |
👉 信用力重視=株式会社、コストとシンプルさ重視=合同会社が目安です。
税理士に依頼した場合の流れ
依頼メリット
- 設立書類一式のサポート。
- 税務署・自治体への届出代行まで一気通貫。
- 設立後の会計・税務申告までの体制を整備。
- マイクロ法人に最適な役員報酬・節税設計を事前にシミュレーション。
- 税理士によっては事業開始後に気軽に経営全般の相談役にのってもらえる。
実際の進め方
- ヒアリング(事業内容・資本金・役員構成・決算期など)
- 定款作成・電子認証、登記書類作成
- 法務局申請・登記完了
- 税務署・自治体・年金事務所等への届出
- 会計・銀行・給与・請求書発行など運用設計
自分だけで設立してもかかる費用を除いた場合の費用感は10万〜20万円前後(設立サポート)。
顧問契約セットで割引のケースもあります。
まとめ
- 準備:資本金・定款・印鑑・事業計画を整える。
- 登記:書類作成→法務局申請→登記完了書類の取得。
- 口座:まずはネット銀行で実績作り、その後信用金庫やメガバンクも検討。
- 届出:税務署・自治体・年金/労働保険の各種届出を期限内に。
- 形態選択:信用重視なら株式会社、低コスト重視なら合同会社。
実務では登記・届出・口座審査の段取りでつまずきやすいもの。仕事や副業と並行するなら、専門家である税理士や司法書士の伴走でスムーズに進めるのが近道です。
👉 「自分に合ったマイクロ法人の作り方を知りたい」「税務面も含めてスムーズに設立したい」という方は、下記のページをぜひともご覧ください。





















