試算表が黒字でも安心できない理由|社長が確認したい「お金が減る会社」のサイン

試算表が黒字でも安心できない理由|社長が確認したい「お金が減る会社」のサイン

「試算表が黒字なのに、なぜかあまり安心できない」

これは、多くの社長が感じる違和感です。

売上も出ている。利益も出ている。 試算表だけ見れば悪くなさそうに見える。 それなのに、通帳残高を見ると不安が残る。

この感覚は、決して気のせいではありません。

実際、試算表が黒字でも、会社のお金が減っていくことはあります。 つまり、黒字であることと、安心できることは同じではないのです。

今回は、試算表が黒字でも安心できない理由と、社長が確認したい「お金が減る会社」のサインをわかりやすく解説します。

なぜ黒字なのに安心できないのか

まず大前提として、利益とお金は同じではありません。

試算表の黒字は、「今のところ利益が出ている」という意味です。 ですが、会社にお金が残るかどうかは、それだけでは決まりません。

たとえば、

  • 売上は立っているが入金がまだ
  • 借入返済で現金が出ていく
  • 固定費が重い
  • 税金や賞与の支払いが控えている

こうしたことがあると、試算表は黒字でも通帳残高は思うように増えません。

つまり、社長が安心できるかどうかを決めるのは、利益そのものではなく、現預金の動きなのです。

この点は、こちらの記事でも詳しく解説しています。
利益と資金繰りはなぜズレるのか|社長が押さえたい決算書の見方はこちら

サイン① 売掛金が増えている

黒字でも安心できない会社で、まず確認したいのが売掛金です。

売掛金が増えるということは、売上は立っているけれど、まだ現金になっていないということです。

特に、

  • 売上は伸びている
  • でも入金サイトが長い
  • 月末残高はあまり増えていない

という状態なら、利益は出ていても資金繰りは苦しくなりやすいです。

成長している会社ほど、この状態は起こりやすいです。 だからこそ、試算表の売上や利益だけで安心せず、売掛金がどれだけ増えているかを見たいです。

試算表の見方そのものについては、こちらの記事も参考になります。
銀行が嫌がる試算表とは?社長が見落としやすい3つのポイントはこちら

サイン② 借入返済で現金が減っている

2つ目のサインは、借入返済です。

借入返済の元本部分は、損益計算書には費用として出ません。 そのため、試算表だけ見ていると見落としやすいです。

ですが実際には、返済のたびに現金は確実に減っていきます。

そのため、

  • 試算表では黒字
  • でも返済後の月末残高は薄い

ということは普通に起こります。

つまり、黒字なのに安心できない会社では、利益の裏で借入返済が資金を削っていることがあります。

社外CFO税理士 高橋輝雄
いわゆるこの現象は”PL脳”と言われています。税理士も含めて損益計算書の利益や損失だけを見て一喜一憂するのはとても危険な事であります。

サイン③ 固定費がじわじわ重くなっている

3つ目は、固定費の増加です。

固定費は、一度増えるとその後も毎月効いてきます。 たとえば、

  • 人件費
  • 外注費
  • 家賃
  • システム利用料
  • 役員報酬

などです。

試算表で黒字が出ていても、固定費がじわじわ増えていると、将来の資金繰りは重くなります。

今は回っていても、売上が少し落ちただけで急に苦しくなることもあります。 だからこそ、今月黒字かどうかだけでなく、固定費の水準が上がっていないかも見たいです。

サイン④ 月末残高が少しずつ減っている

社長が一番敏感になるべきサインは、月末残高の推移です。

試算表が黒字でも、月末残高が数か月単位でじわじわ減っているなら、それはかなり重要なサインです。

たとえば、

  • 先月末より少ない
  • 3か月前よりかなり減っている
  • 利益は出ているのに通帳残高が増えない

こうした状態なら、試算表の黒字だけで安心するのは危険です。

なぜなら、会社のお金は確実に薄くなっているからです。

つまり、社長が本当に見るべきなのは、単月の利益よりも、月末残高の流れです。

月次でどの数字を見るべきかは、こちらの記事でも整理しています。
資金繰りが悪化する前兆とは?社長が月次で見るべき3つの数字はこちら

サイン⑤ 税金や賞与など、これから出ていくお金を織り込めていない

もう一つ見落としやすいのが、これから出ていくお金です。

試算表が黒字でも、今後、

  • 法人税や消費税
  • 賞与
  • 大きな設備投資
  • 更新費用や季節変動支出

が控えていれば、安心感は変わります。

つまり、今の試算表だけを見て黒字だから大丈夫、ではなく、これから何が出ていくかまで含めて考える必要があります。

ここを見ないまま経営すると、「黒字だったのに、なぜか資金繰りが苦しい」という状態になりやすいです。

社外CFO税理士 高橋輝雄
こうした事からも試算表とは別に「資金繰り表」を作る重要性もよく分かるかと思います。

社長が確認したい「お金が減る会社」のサイン

ここまでを整理すると、試算表が黒字でも安心できない会社には、次のようなサインがあります。

  1. 売掛金が増えている
  2. 借入返済で現金が減っている
  3. 固定費が重くなっている
  4. 月末残高が少しずつ減っている
  5. これから出ていくお金を織り込めていない

こうしたサインがある会社は、試算表が黒字でも、安心できる状態とは言いにくいです。

黒字より先に見るべきこと

では、社長は何を見ればよいのでしょうか。

私は、少なくとも次の3つをセットで見たいです。

  • 試算表の利益
  • 月末の現預金残高
  • 今後3か月〜6か月の資金予定

この3つを一緒に見ると、「黒字だけど危ない」「今は黒字でなくてもまだ余裕がある」といった違いが見えやすくなります。

つまり、社長が本当に確認したいのは、黒字かどうかよりも、お金が減る構造になっていないかなのです。

【結論】試算表が黒字でも、現金が減るサインがあるなら安心できない

試算表が黒字であること自体は悪いことではありません。 ですが、それだけで安心できるとは限りません。

売掛金の増加、借入返済、固定費負担、月末残高の低下、今後の支出予定。 こうしたものが重なると、黒字でも会社のお金は減っていきます。

だからこそ、社長が本当に見るべきなのは、利益が出ているかどうかだけでなく、お金が減るサインが出ていないかです。

つまり、試算表が黒字でも安心できない理由は、黒字と資金余力は別物だからです。

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全体像から整理したい方は、こちらのハブ記事もあわせてご覧ください。
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ABOUT US
高橋 輝雄
財務参謀(社外CFO) / 税理士 / 元SE。東京都中央区(茅場町)を拠点に活動 。元システムエンジニアという異色の経歴を持ち、SE出身の論理的思考と10年の税理士実務を融合させた「現預金最大化」の専門家 。 単なる過去の記録係ではなく、未来のキャッシュを創る軍師として、独自開発の『シミュレーター』と15以上の財務施策を駆使し、中小企業の資金繰りを劇的に改善 。 これまでに500件以上のマイクロ法人を支援してきた実績を持ち、情に厚く、社長の志に伴走する涙もろい財務参謀です。