こんにちは。東京都中央区日本橋茅場町の税理士 高橋輝雄(@teruozeimu)です。
クラウド会計が売りにする銀行口座やクレジットカードの取り込みによる自動仕訳のしくみ。
実はこの機能は既存の会計ソフト(弥生会計とか)でも預金口座の自動取込は可能です。
税理士もつけず、ご自身で全て会計処理を完了している方の場合、
後は申告するだけです!だから安くお願いね!!
という方がいらっしゃいます。
そういう方の会計データを拝見しますと、結構な間違いがあったりします。
目次
その自動仕訳の設定は大丈夫ですか?
今年の確定申告でもfreeeやMFクラウドでご自身の事業を経理したデータを多く拝見してきました。
そうしますと、そもそもの自動取込の設定が違っていたりします。
例えばこんな間違いがありました。
借入金の支払いを全て支払利息や支払手数料としてしまっていた
税理士から見れば、これはすぐに分かる間違いです。
むしろ、このままでは、借入金の残高が一生合わなくなってしまいます。
さらに、返済の元本部分を経費にしてしまっているため、所得が小さくなっていることから
税務調査で指摘された場合、過少申告加算税や延滞税という罰金的な税金を余分に払う事になりかねません。
また、そのほかにも
自動車の購入や機械の購入が「備品費」という科目になっている
これも本来であれば、固定資産として一旦は資産に計上して、減価償却費として少しずつ経費にするという形を取ら無ければなりません。
なのに、全てを経費に計上してしまっているため、必要以上に所得が小さくなってしまっています。
ですので、こちらも修正が必要になる可能性が大いにあります。
なぜか現金残高がマイナス
そんなワケがあるのか?
と思うかもしれませんが、これも結構あります。
現金を通帳から引き出している金額よりも使っている金額の方が多い。
もしくは、そもそも預金からは引き出してなくて、現金残高は0円の状態からずっと現金支払いの経理を行っているがために生じてしまっている。
という場合に起こります。
最終的に小口現金などがなければ、事業主勘定に振替をしても良いと思います。
ただ、現金がマイナスのままというのは本来は有り得ないので注意が必要です。
棚卸ができていない
そもそも原価の計算は
期首の在庫+今期に仕入した在庫▲期末の在庫
という算式で今期の原価を出します。
ですが、この棚卸という概念がないため、期末の在庫を計上していない事も。
こちらも過大に経費が計上されてしまっていますので注意が必要ですね。
発生主義はできているでしょうか?
クラウド会計で気付きにくいのが、この発生主義。
基本的に自動取り込にしていると、基本的に預金から支払った時に経費計上、預金に入金された時に売上となってしまう事も。
少なくとも期中はこちらで構わないのですが、決算や確定申告の時は発生主義の概念を入れないといけません。
※現金主義の特例を採用している場合は大丈夫です。
特に
- 売掛金(未収入となっている売上分)
- 買掛金(未払いとなっている仕入の原価や経費分)
というようなところで注意が必要ですね。
自動仕訳だけで、決算の時に仕訳を入れない場合には、まずこの処理が漏れていると考えてよいでしょう。
freeeなどは、確定申告の処理を進めていくと、期末に決算仕訳として発生主義が漏れていないかという確認をされますが、よく意味が分からずに飛ばしている方も多いのではないでしょうか?
こちらも税務調査が入った場合には、指摘事項として「売上の計上漏れ」とされるような場合があるので注意が必要ですね。
まとめ
個人事業を始めるのも容易になりました。
クラウド会計が登場したことにより、自分で経理をして確定申告も簡単にできる世の中になったことは確かです。
ですが、その分今回のように税法的にはアウトなまま確定申告までいってしまっている場合も多いのかもしれません。
個人的な意見ではありますが、クラウド会計を利用していて、税理士の関与もない事業者に税務調査が入ったら、結構な確率で是正点が見つかるのではないかと思っています…。
カンタン経理という機能はありますが、その内容については一度税理士に精査してもらうか、少なくとも簡単な本を購入して勉強した上で経理を行った方が良いのでは?
と思う次第です。
確定申告が終わったばかりですが、事業とは直接関係のない経理だからと軽視せずに、もう一度、個人事業主の方はご自身の経理状況を見直してみてはいかがでしょうか?
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