こんにちは。
東京都中央区日本橋茅場町の税理士、高橋輝雄です。
お客様からよく聞かれる質問の一つに次のようなものがあります。
「確定申告書や総勘定元帳は、毎年紙で保管しておく必要がありますか?」
決算や確定申告のたびに、分厚い申告書や総勘定元帳を紙で受け取っていると、保管場所に困ることがあります。
特に法人の場合、決算書、申告書控え、総勘定元帳、領収書、請求書などが毎年増えていきますので、何年も紙で保存しているとかなりの量になります。
結論からいうと、確定申告書の控えや総勘定元帳を、必ず毎年紙で製本して保管しなければならないわけではありません。
ただし、ここで注意したいのは、「紙でなくてもよい」ということと、「保存しなくてよい」ということは別だという点です。
この記事では、確定申告書の控えや総勘定元帳について、紙で保管する必要があるのか、PDFや電子データで保存してよいのか、税理士変更時に何を受け取っておくべきかを整理します。
この記事で分かること
- 確定申告書や総勘定元帳は紙で保管する必要があるのか
- 帳簿書類の保存期間
- PDF保存・電子保存で注意したいこと
- 税務調査のときに総勘定元帳はどう準備すればよいか
- 税理士変更時に必ず受け取っておきたい資料
まず確認したい結論:紙でなくてもよいが、保存義務はある
確定申告書の控えや総勘定元帳については、必ずしも紙で保管しなければならないわけではありません。
会計ソフトや税務ソフトからPDFで出力した申告書控えや総勘定元帳を、電子データとして整理して保存しておく方法もあります。
ただし、法人の場合、総勘定元帳などの帳簿や取引関係書類については、原則として一定期間保存する必要があります。
つまり、重要なのは、
- あとから内容を確認できること
- 必要なときに出力・提出できること
- 帳簿書類として適切に保存されていること
です。
「紙の束を毎年もらうこと」自体が目的ではありません。
税務調査、銀行融資、税理士変更、過去の数字の確認などで必要になったときに、きちんと確認できる状態にしておくことが大切です。
帳簿書類は何年保存する必要があるのか
法人の場合、帳簿や取引等に関して作成・受領した書類は、原則としてその事業年度の確定申告書の提出期限の翌日から7年間保存する必要があります。
ここでいう帳簿には、たとえば次のようなものがあります。
- 総勘定元帳
- 仕訳帳
- 現金出納帳
- 売掛金元帳
- 買掛金元帳
- 固定資産台帳
- 売上帳・仕入帳
また、書類には、たとえば次のようなものがあります。
- 棚卸表
- 貸借対照表
- 損益計算書
- 注文書
- 契約書
- 領収書
- 請求書
なお、青色申告で欠損金が生じた事業年度など、一定の場合には保存期間が10年間となることもあります。
ポイント
「申告書控え」そのものは、帳簿や領収書とは性質が異なりますが、銀行融資、税理士変更、過去の申告内容の確認で必要になることがあります。そのため、PDFでもよいので、過去分を整理して残しておくことをおすすめします。
申告書や総勘定元帳は必ずしも紙で保管しなくてよい
あなたの会社では、決算のたびに申告書や総勘定元帳を紙で保管しているでしょうか。
昔ながらの会計事務所では、決算後に総勘定元帳を印刷し、穴をあけ、インデックスを貼り、製本して納品するという流れが一般的でした。
もちろん、紙で保管すること自体が悪いわけではありません。
ただ、会計ソフトや税務ソフトでデータが管理されている現在では、すべてを紙で製本して持ち続ける必要性はかなり下がっています。
特に、クラウド会計を利用している場合、総勘定元帳や仕訳帳は画面上で確認でき、必要に応じてPDFやCSVで出力できます。
申告書についても、電子申告をしている場合には、申告書控えや受付結果をPDFで整理しておけば、後から確認しやすくなります。
つまり、「紙で受け取ること」よりも、「必要なときに確認できる状態で保存していること」の方が重要です。
PDF保存・電子保存で注意したいこと
確定申告書の控えや総勘定元帳をPDFで保存する場合は、ファイル名や保存場所をきちんと整理しておくことが大切です。
たとえば、次のような形でフォルダを分けておくと、後から探しやすくなります。
- 2026年5月期_法人税申告書
- 2026年5月期_決算書
- 2026年5月期_総勘定元帳
- 2026年5月期_消費税申告書
- 2026年5月期_勘定科目内訳明細書
また、PDFで保存する場合でも、単にパソコンのどこかに置いておくだけでは、後から見つからなくなることがあります。
クラウドストレージや外部バックアップも活用しながら、社内でどこに保存しているかを明確にしておくと安心です。
電子帳簿保存法との関係
帳簿や書類を電子データで保存する場合には、電子帳簿保存法との関係も確認しておく必要があります。
電子帳簿保存法では、大きく分けると次のような制度があります。
- 電子帳簿・電子書類の保存
- スキャナ保存
- 電子取引データの保存
たとえば、会計ソフトで作成した帳簿を電子データとして保存する場合、一定の要件を満たす必要があります。
また、紙で受け取った領収書や請求書をスキャンして保存する場合と、メールやWebからダウンロードした請求書・領収書などの電子取引データを保存する場合では、考え方が異なります。
特に、メール添付のPDF請求書、Webサイトからダウンロードする領収書、クラウドサービス上で発行される請求書などは、電子取引データとして保存方法に注意が必要です。
参考
電子帳簿保存法の詳細については、国税庁の特設サイトも確認しておくとよいでしょう。
国税庁:電子帳簿等保存制度特設サイト
以前は、電子保存というと「税務署への届出が必要」というイメージを持たれている方も多かったと思います。
現在は制度改正により、以前とは取扱いが変わっている部分があります。
そのため、昔の知識のまま判断せず、現在の電子帳簿保存法の内容に合わせて保存方法を見直すことが大切です。
税務調査があったときに総勘定元帳はどうするのか
紙で総勘定元帳を保管していないと、税務調査のときに困るのではないかと不安に思う方もいらっしゃるかもしれません。
実務上は、税務調査の際に必要に応じて総勘定元帳を出力したり、PDFで提示したりすることがあります。
税務調査で重要なのは、分厚く製本された元帳があるかどうかではなく、取引内容を確認できる帳簿や資料が適切に保存されているかどうかです。
必要に応じて、
- 総勘定元帳をPDFで提出する
- 対象となる勘定科目だけ印刷する
- 会計ソフトの画面で確認する
- CSVで出力して確認する
といった対応をすることもあります。
そのため、毎年すべての総勘定元帳を紙で製本しておくよりも、会計データやPDFを適切に整理し、必要なときにすぐ確認できる状態にしておく方が実務的です。
税理士変更時には総勘定元帳を必ず受け取る
紙で保管する必要性は下がっていますが、税理士変更をする場合には、過去の総勘定元帳や申告書控えを必ず受け取っておきましょう。
税理士を変更して新しい税理士に引き継ぐ際、次の資料がないと、過去の処理内容を確認しにくくなります。
- 過去の申告書控え
- 決算書
- 勘定科目内訳明細書
- 総勘定元帳
- 消費税申告書
- 固定資産台帳
- 届出書の控え
- 会計データ
特に総勘定元帳は、前期以前の取引内容や残高の内訳を確認するために必要です。
税理士変更で移ってこられるお客様の中には、申告書や決算書はあるものの、総勘定元帳を受け取っていないケースもあります。
この場合、過去の処理内容を確認するのに時間がかかることがあります。
税理士変更を検討している方は、変更前に必要な資料を整理しておくことが大切です。
税理士変更を検討している方は、こちらの記事も参考になります。
東京都中央区で税理士変更を検討する前に確認したいこと
クラウド会計を使うと経理資料の整理もしやすくなる
弊所では、会計freeeやマネーフォワードクラウド会計などのクラウド会計を活用した経理効率化にも対応しています。
クラウド会計を使うことで、銀行口座やクレジットカードの明細を自動連携し、取引データを整理しやすくなります。
また、総勘定元帳や試算表も、必要に応じて画面上で確認したり、PDFやCSVで出力したりすることができます。
従来型の会計事務所専用システムでは、税理士が試算表を作成するまで会社側では数字が見えにくいこともあります。
一方で、クラウド会計を活用すれば、社長自身も数字を確認しやすくなり、資金繰りや経営判断にもつなげやすくなります。
紙の保存を減らすことは、単なるペーパーレス化だけではありません。
経理資料を整理し、必要なときに数字を確認できる体制をつくることが、経営判断のスピードにもつながります。
よくある質問
Q. 確定申告書の控えは紙で保管しなければいけませんか?
必ずしも紙で保管しなければならないわけではありません。PDFで整理しておく方法もあります。ただし、銀行融資、税理士変更、過去の申告内容の確認で必要になることがありますので、後から確認できる状態で保存しておくことが大切です。
Q. 総勘定元帳は紙で製本してもらう必要がありますか?
必ずしも毎年紙で製本してもらう必要はありません。会計ソフト上で確認できる状態や、必要なときにPDF・CSVで出力できる状態にしておく方法もあります。ただし、帳簿としての保存義務はありますので、適切に保存しておく必要があります。
Q. 税務調査のときは総勘定元帳を印刷する必要がありますか?
調査の内容や税務署からの依頼内容によります。必要に応じて、該当箇所を印刷したり、PDFや会計ソフトのデータで確認したりすることがあります。大切なのは、調査時に必要な帳簿や資料を確認できる状態にしておくことです。
Q. 税理士変更時に最低限もらっておくべき資料は何ですか?
申告書控え、決算書、勘定科目内訳明細書、総勘定元帳、消費税申告書、固定資産台帳、届出書控え、会計データなどは受け取っておくと安心です。特に総勘定元帳がないと、過去の処理内容や残高の確認に時間がかかることがあります。
まとめ
確定申告書の控えや総勘定元帳は、必ずしも毎年紙で製本して保管しなければならないわけではありません。
ただし、紙でなくてもよいからといって、保存しなくてよいわけではありません。
法人の場合、総勘定元帳などの帳簿や取引関係書類は、原則として一定期間保存する必要があります。
大切なのは、紙かPDFかという形式だけではなく、
- 必要な資料を後から確認できること
- 税務調査や融資の際に提出できること
- 税理士変更時に引き継ぎできること
- 経理資料が社内で整理されていること
です。
紙の書類を減らしたい場合は、申告書控えや総勘定元帳をPDFで受け取り、保存ルールを決めて整理しておくとよいでしょう。
また、電子取引データやスキャナ保存については、電子帳簿保存法の要件も関係しますので、自社の運用に合わせて確認しておくことをおすすめします。
申告書・総勘定元帳の保存や経理の効率化でお悩みの方へ
確定申告書の控え、総勘定元帳、領収書、請求書などの保存方法は、紙・PDF・電子取引データで考え方が異なります。税理士変更やクラウド会計への移行を含めて、一度整理しておくと安心です。














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