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合同会社とは?資本金はいくらがいい?株式会社との違いを比較

こんにちは。東京都中央区日本橋茅場町の税理士 高橋輝雄(@teruozeimu)です。

最近「合同会社」という形態が流行っているようです。

AmazonやApple Japan、西友などの大企業が合同会社を設立していることも、注目されている要因なのかもしれません。

実際に、私のお客様にも合同会社で会社設立された方も何社かいらっしゃいます。

今回は、合同会社についてよく頂くご質問

  • 合同会社とは?
  • 合同会社の資本金はいくらにしたらいいの?
  • 合同会社と株式会社の違いはなに?
  • 合同会社のメリット・デメリットは?

について解説してきます!

合同会社とは?

合同会社とは、出資したすべての人たちが経営に携わる会社形態です。

つまり「出資者=経営者」という形態になります。ちなみに株式会社は「出資者≠経営者」で違いがあります。

合同会社はLLCと呼ばれ、Limited Liability Companyの略で、直訳すると「有限責任会社」となります。

有限責任とは、自分が出資した分だけ会社に対して責任を負う社員。 会社が倒産した場合、有限責任社員は出資した以上には会社の負債の弁済義務はありません

以前あった有限会社の代わりに生まれました(有限会社は2006年、有限会社法が廃止されて会社法に統合され、設立できなくなりました)

資本金1円、出資者1名から設立が可能です。

 

合同会社の資本金はいくらにしたらいい?

合同会社の設立時によく聞かれる質問の1つは資本金です。「合同会社は資本金1円から出来ます!」と言われても、1円でいいものなのか、資本金が多い・少ないとどんなメリット・デメリットがあるのか?いろいろ悩みますよね。

資本金が多い場合のメリットとしては、会社の資金力があるとみなされ、会社の信用が高くなります。また金融機関で融資を受ける際に評価が高くなり融資を受けやすくなる、というメリットがあります。

逆に資本金が少なすぎる場合のデメリットとしては、対外的信用が低くなる、ということ。金融機関からの融資が受けづらくなること。などがあります。例えば、日本政策金融公庫の融資制度では、

融資を受けようとする金額の1/10以上は自己資金を確保しておくこと

という要件があり、100万円の融資を受けたい場合であれば100万円の1/10以上、つまり最低10万円は資本金が必要。ということになります。

では次に合同会社設立した実際の会社は、いくらの資本金で設立したのか?を見てみましょう。

政府統計の総合窓口データから、2020年のデータで、実際の合同会社設立時における資本金をグラフ化してみました。

2020年の合同会社の資本金割合は、47.36%で100万円未満が一番多く、次いで34.76%で100万円以上、9.35%で500万円以上、7.7%で300万円以上、という結果になっています。

以上の結果から2020年度の合同会社設立時で、一番多い資本金額は「100万円未満」である、ということがわかりますね。

正直なところ、資本金1円からできると言っても、1円などの極端に少ない資本金の場合、金融機関で法人口座を開設できない、などのデメリットがありますのでオススメはしません。

 

合同会社と株式会社の違い

ここでは合同会社と株式会社の違いを比較表で解説いたします。

クリックで拡大します↓合同会社と株式会社の比較表

合同会社も株式会社も「法人格」

両者とも形態は法人になりますので、法人課税となり両者に違いはありません。

個人事業主であれば、所得税や住民税の負担はありませんが、法人では赤字であっても法人住民税については納税しなくてはいけません。

法人住民税については会社のある都道府県や市区町村に納税します。会社が存在する、という事実だけで均等割が課税されてしまうので、赤字でも関係なく納税義務が発生してしまいます。

通常は資本金1000万円以下で従業員が50人以下であれば年額7万円になります。

 

責任範囲は「有限」

有限責任とは、自分が出資した分だけ会社に対して責任を負う社員を指します。

つまりもし倒産してしまった場合、有限責任社員は出資した以上には会社の負債の弁済する義務はありません

両者とも有限責任でありますのでこの点では両者に違いはありません。

 

社会保険(健康保険・厚生年金)は「強制加入」

合同会社も株式会社も社会保険(健康保険と厚生年金)は強制加入になります。

法人格になりますので、社員1名であっても加入の義務があります。

社会保険は、会社と従業員とで折半(労使折半)して支払うので、従業員の社会保険も半分会社が負担します。

以前は社会保険に入っていない法人も多かったのですが、最近は年金事務所の調査も強化されています。社会保険に加入していないと、加入督促の通知が来ることも多いですね。

最終的には年金事務所に呼び出されて過年度分も支払わされるという事もありますのでご注意ください。

 

設立費用

合同会社の最大のメリットは「設立費用の安さ」であると言えます。

費用の観点からすると、両者に違いがあります。比較表でご覧いただいたとおり、株式会社の場合は24万円~であるのに対し、合同会社では10万円~可能です。

 

合同会社のメリット・デメリット

メリット

  1. 設立費用が安い
  2. 経営の自由度が高い
  3. 決算の公表義務がない

 

①設立費用が安い

前述の比較表でご覧頂きました通り、合同会社では10万円~株式会社では24万円~となり、合同会社の方が安くできることがメリットの1つであると言えます。

②経営の自由度が高い

合同会社では株式会社と違い株主総会がないので、迅速な意思決定や経営の自由度が高いです。

また利益配分の決定において、合同会社の場合は定款で定める必要があるものの、出資比率に関係なく、社員間で自由に決めることができることがメリットであると言えます。

株式会社の場合は合同会社と違い株式の保有数に応じて利益配分が決まります。

 

③決算の公表義務がない

合同会社は、決算の公表義務がありません。株式会社の場合は、毎年株主総会の終了後に財務情報を開示する「決算公告」を行わなければいけません。

一般的な決算公告を掲載の際に必要な料金は約6万円かかります。

合同会社には決算公告の義務がないためこの約6万円が不要となるのです。

 

デメリット

  1. 社会的信用度・認知度が低い
  2. 事業承継や権利譲渡が難しい
  3. 出資者(社員)が対立したときにリスクが大きい

 

社会的信用度・認知度が低い

国内では合同会社は株式会社と違いまだ一般的な形態としての認知度が低い為、信用を得にくいと言えます。

ただし近年では西友やAmazonやAppleといった企業も合同会社を設立しており、国内でも増加傾向にありますので、さほど心配はいらないでしょう。

 

②事業承継や権利譲渡が難しい

合同会社が事業承継や権利譲渡する場合、出資者(社員)全員の同意が必要になります。

また経営者が亡くなった場合に違いがあります。株式会社であれば、相続人が株を相続し会社に対して影響力を持ち続けることができますが、合同会社の場合、出資者が亡くなると、相続人に出資が相続されません。

会社法では合同会社の出資者の死亡は「退職扱い」となってしまいます。

 

③出資者(社員)が対立したときにリスクが大きい

合同会社では「出資者=経営者」であることで社員同士のトラブルが混乱や業務に影響を与える可能性があります。

株式会社では取締役のように一部に与えられた権限が、合同会社では多くの出資者(社員)が持つことになることがリスクを高める要因になることもあります。

 

まとめ

  • 2020年度の合同会社設立の資本金額は100万円未満が一番多い
  • 合同会社と株式会社の違いは費用面利益配分決算公告、事業承継などがある
  • 合同会社は会社設立費用とランニングコスト(決算公告費用)が抑えられる
  • 合同会社では利益配分を自由に決められるが、それがデメリットと成り得る場合もある
  • 合同会社の事業承継権利譲渡難しい

 

今回は最近人気の「合同会社」について解説しました。

両者の違いを比較し、メリット・デメリットを確認した上でどちらにするか決めるのがいいでしょう。

合同会社か株式会社かで悩まれている方は参考にしていただけると幸いです。

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