「遂に法人化して社長になりました!」
「節税のために法人化しました!」
Twitter上ではこんな文言が踊っています。
そうすると
「自分も個人事業主より法人の方が良いのかなぁ…」
というように、なんとなく法人を作ろうとする人の多いこと多いこと。
個人事業主の方が節税のために法人化をしたいという相談は本当によくいただきます。
もしくは既に法人を作ってからご相談にいらっしゃる方も…。
結論から申し上げますと
法人にする事で節税になる方もいるがそうでない方もいる
と言えます。
正直「このぐらいなら個人事業主の方がお金が残るのになぁ」という人もいますね。
これが事実です。今日はそんな個人事業主が法人化する事について見ていきましょう。
コンテンツ
法人化をすると何が節税になるのか?
個人事業主が法人化する事によって節税できる一番のものは事業の所得(もうけ)に対する税金です。
個人事業主が支払う税金は
- 所得税
- 住民税
- 事業税
- 消費税(売上高が1,000万円超えていれば)
となります。
一方で法人が支払う税金は
- 法人税
- 法人住民税
- 法人事業税
- 消費税(売上高が1,000万円超えていれば)
そして、自分に給料を出したら上記に加えて下記の2つの税金が発生します。
- 所得税
- 住民税
えっ!?会社にしたのに結局は所得税と住民税払うなら意味ないじゃん!と思うでしょう。
そう、単にこれだけを見ると法人にするメリットは何もありません。
しかし、税率に着目します。
所得税…5%~45%(所得金額により上がっていく)
法人税…15%(所得800万円まで)、23.2%(所得800万円超)
所得というのは端的にいうと「もうけ」です。
つまり、個人はもうけた金額が大きいほど税率は右肩上がりに大きくなります。
しかし、法人の税率は2段階のみ。
それを考えますと、ある一定のところで所得税が法人税を追い抜くこととなります。
つまり、所得があまり多くないのに法人化しても支払いだけが多くなってしまいます。
少なくとも売上高が1,000万円もいかないようであれば個人事業主の方が良いでしょう。
また、たとえ節税ができたとしても法人化は良い事ばかりでもありません。
法人化する事でデメリットになる事は?
法人化をすると税金面だけでなく下記のようなデメリットが生じます。
- 法人は社会保険(健康保険・厚生年金)が強制加入
- 自分の給与を自由に変更できない
- 税理士の報酬が高くなる場合が多い
それぞれを見ていきましょう。
法人は社会保険(健康保険・厚生年金)が強制加入
何と言ってもこの部分が挙げられるでしょう。
個人事業主が将来的な事を考えて厚生年金に入る事になるのは良い事でもありますがその分支出も増えます。
会社の方で給料を払う時に半額を預かって、残り半分を足して会社が納めます。
従業員がおらず、いたとしても自分の配偶者だけのような法人だった場合は出ていく金額が増えるだけ。
以前は社会保険に入っていない法人も多かったのですが、最近は年金事務所の調査も強化されています。
社会保険に加入していないと、加入督促の通知が来ることも多いですね。
最終的には年金事務所に呼び出されて過年度分も支払わされるという事もありますのでご注意ください。
すでに法人化しているようでしたら、早めの加入を推奨します。
社会保険のキャッシュアウトはバカになりません。
自分の給与を自由に変更できない
そもそもなんですが個人事業主にをしている方は自分に対する給与というものがないのです。
それだけに自分の通帳に入ってきたお金から出てった経費の残りを自由に使えると考えている人も多いですよね。
しかし、法人を作って自分が社長となったら「役員」という扱いであり、自由にお金を出し入れは原則としてできません。
「今月儲かったから俺の給与は100万円!先月は10万円だったからいいっしょ?w」
とかできないワケです。
この辺はアドバイスする税理士としては何度も説明しないと理解してもらえない事も多々あります。
税理士の報酬が高くなる場合が多い
税理士が法人化をすすめる理由としては
個人よりも法人の方が報酬をもらえるから
というところがあります。
とはいっても、実際に法人の方が決算や月次の処理が個人よりも手間がかかるところがあるためです。
それだけにホントに法人化をするのが良いかというところを税理士がベストの選択をしていない可能性もあるんですね。
私ははっきりとスタートが収益も見えていないようであれば、いきなり法人で始める事は止めています。
法人の方が個人よりもメリットがあると言えば社会的な信用などですが、そもそも銀行で通帳が作れない事もありますからね。
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まとめ
いかがでしたでしょうか?
今回の記事を見て、やや時期尚早だと感じた方もいらっしゃるのではないでしょうか?
すでに法人にしていらっしゃるようであれば、更に収益を伸ばしていくしかありませんが、「個人事業主に戻る」という方法もあります。
一度ご自身の状況をよく考えてみてくださいね。
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